今回のエントリでは、商業小説家がどのような文書作成ソフトを利用しているかについて、お伝えしようと思う。
興味ない?
どうだっていい?
まあ、ちょっとした箸休め、与太話だと思って読んでもらえれば。
プロの小説家が使う文書作成ソフト
プロの小説家が使う文書作成ソフトは、ズバリMicrosoft Wordだ。
なぜか。
理由は単純。Wordで作られたフォーマットが出版社から渡されるからだ。作家たちは、そのフォーマットを使って書く。
だから、プロ作家はMicrosoft Wordを利用して小説を書いている、という話。
どんなフォーマットかというと、文庫一ページ分の、縦長のフォーマットだ。小説家はそれを使って書いていく。
出版社によって違う可能性はあるが、少なくとも僕の本を出してもらった出版社では問答無用でWordだった。たぶんどこも似たりよったりだろう。
それに、他のエントリでも言っていることだが、出版社の編集者も会社員だ。昨今の会社では、オフィス用のPCのOSはMicrosoft Windows系で、当然そこに搭載されるOffice製品もMicrosoft Officeになる。
そんなこんなで、必然的に小説家と編集者の文書のやり取りは、Wordになる。
本編執筆以外のやりとり
編集者とのやり取りはWord。とは言っても、編集者とのやりとりの最初からこのフォーマットを利用するワケじゃない。
企画の段階ではpptを使うこともあるし、自前のフォーマットのWord文書やテキスト形式の文書を提出することもある。プロット段階もしかり。いろんなフォーマットの文書が飛び交う。
でも、実際の執筆分に関してはWordで提出をすることとなる。
このWordの費用が出版社から出るか?
さあ、どうだろう。僕は自前ですでに購入していたので、確認さえしなかった。多くの作家さんもすでにWordを導入しているだろう。けれど、Wordを使っていないとしても「作家さん側で買ってください」となるに違いない。
というわけで、特別こだわりがないのであれば、Wordを導入し、使い慣れておいた方が良い。
もっとも、先に触れた通り、今現在では(今現在でも)多くの会社や学校がMicrosoftのOSをPCに導入していて、Office製品を導入しているので、使うことに関しては問題ない人が多いだろうけれど。
代替品について
どうしてもMicrosoft Wordにお金を出したくない、という人は、docxを読み書きできる、Wordと互換性のあるソフトを利用する手もあるだろう。
けれど、執筆環境くらいお金をかけてもいいんじゃないだろうか。
趣味としてやるにしても、他の趣味に比べてみると随分安上がりだし、プロになりたいという人なら、この出費を取り戻そう、とモチベーション向上に利用することもできる。半年分のお金を払ってしまったから、ちゃんとジムに通って使いたおそう、みたいな。
それに、フリーでも十分使えるけれど、それでもやはり弱い部分はある(例えばマクロ機能=要するにプログラムをwordやExcelなどのドキュメントの中に埋め込む機能。プログラムを組めば、ルビを振るページや行数をプログラム的に引っ張り出したりすることもできる)。
その弱い部分が、プロ小説家の執筆作業をかなり効率化させうることも含めて考えると、やはりMicrosoft製品を導入することをお勧めする。
機能やプロダクトポリシーに惚れ込んで、そのフリーソフトを使うというなら別だけれど、代替品として導入するなら、所詮それは代替品だ。本家には敵わない。というか、代替品を名乗っている時点で、プロダクトとしてもう負けている。
小説も同じ。パクリはどうやったって本家に敵わないのだ。
おわりに
というわけで、小説家が使う文書作成ソフトについて記してみた。
趣味で小説を書くにしても、プロとしてやっていこうという心づもりでも、一度買い揃えれば長いこと使える。
先に述べた通り、趣味なら安上がりなものだし、プロを目指しているなら元を取ることを原動力にしてもいいだろう。
参考にしてもらいたい。
もっとも、道具を買い揃えたからといって、作品のクオリティが上がったり、プロになれたりする保証はどこにもないけれどね。
ライトノベル作家。
商業作家としての名義は「くれあきら」とは別。今は主にブログで小説にまつわるアレコレを配信中。デビューから商業作家時代の話を「今、小説家になるために必要なもの(1)」に書いてます。