前のエントリでは、前のエントリでは二巻の書き方について触れた。ここでは作品の打ち切りついて触れたい。
(このカテゴリは続きもののため、未読の方はぜひ第一回「今、小説家になるために必要なもの(1)」からどうぞ)
残念ながら打ち切りです
そんなことをしている間に一巻がめでたく発売。店頭に並ぶ。これでくれあきらも晴れて商業デビューだ。
自分の本が店頭に並ぶというのは悪くない気分だったが、それはそれ。我が子が可愛いのと、我が子が優秀なのは別の次元の話なのだ。
結論から言うと、本は売れなかった。果てしなく。
本が発売になってから二ヶ月後、二巻の入稿が終わり、三巻のプロットが固まってきた段階で、編集者から「残念ながら三巻で終わりです」の打ち切り宣告を受ける。
もっとも、売れ行きがいまいちだと言う事は編集者の言葉から察しがついていた。なので別にそこまでショックを受ける事はなかった。
しかし、このシリーズは色んな困難を乗り越えて書き続けて来た、自分でもお気に入りの物語。愛着も出て来たし、まだ書きたいネタもあった。ようやく小説を書く事の楽しさを感じられるようにもなった。だから続きが書けないことには肩を落とした。
でも、売れる可能性が見込めないものに時間を費やすほど、出版社も暇じゃない。現実は厳しいのだ。
打ち切りの基準はどこにある?
打ち切りを言い渡される理由は、先に述べた通り、売れ行きにかかっている。ではどの程度売れれば継続可能なのだろうか。
編集者の話によると、だいたい初版がある程度さばけたら継続、それに満たなければ早々に打ち切り、というのが現在の通常パターンとなっているらしい。
小説が(というか本全般が)売れない昨今、早々に打ち切りに遭う小説は昔よりもずっと増えている。十巻を超えているライトノベルなんて、昔もそうだが今はさらに珍しいだろう。
次回作に向けての振り返り
さて、三巻を片付けて、気を取り直して次回作だ。
なのだけれど、次回作を書く前に、そもそも今回なぜ売れなかったのか、それをしっかりと考えておく必要がある。
理由の一つはハッキリしていた。くれあきら自身がライトノベルにあまりに疎いため、そもそもの読者が誰で、どのようなモノを喜ぶのか全く分かっていなかった。
そう、ライトノベルは中高生がターゲットであり、恋愛や萌えやバトルが主軸となるのだ。少なくとも僕がデビューした頃のライトノベルはそうだった。今でもそう事情は変わっていない。
くれあきらの小説には恋愛も萌えもバトルも皆無。なるほど、確かに時代はこの小説を求めていなかったのだろう。
そこでくれあきらは、ライトノベル読者が好む要素を考慮に入れた企画を練ることにした。
その期間、一年以上。永遠みたいに長い戦いだった。
そしてそれが、「悪魔のスパイラル」にハマる最初の一歩なのだった。
次回、「今、小説家になるために必要なもの(8):企画を通す方法とは?」につづく
ライトノベル作家。
商業作家としての名義は「くれあきら」とは別。今は主にブログで小説にまつわるアレコレを配信中。デビューから商業作家時代の話を「今、小説家になるために必要なもの(1)」に書いてます。